2025年03月26日 公開

西日本シティ銀行グループ発行『飛翔』にて、経営者の保証債務の整理に関する記事の寄稿を担当しました。

旧所属事務所在籍時に、株式会社西日本シティ銀行のグループ会社である株式会社NCBリサーチ&コンサルティングが発行する中小企業経営者向け月刊誌『飛翔』において、連載企画「中小企業の法律講座」の以下の記事を執筆いたしました。

  • 掲載号:2023年9月号
  • タイトル:「ガイドラインによる保証債務整理」

記事内容の概要

コロナ融資の返済本格化に伴い、中小企業の倒産リスクが高まる中で、経営者が個人破産を回避しながら保証債務を整理する手段として「経営者保証に関するガイドライン」の活用が注目されています。

本記事では、弁護士としての実務経験をもとに、以下のような観点からガイドラインの活用方法とその意義について解説しました。

  • 経営者保証の制度的役割と、再建・廃業を阻害するリスク
  • ガイドラインによる債務整理の特徴(残存資産の保護、資産の分割弁済、債務免除、信用情報への非登録)
  • 適用のための要件と、誠実な財産開示の重要性
  • 破産手続による配当額を上回る回収が見込まれるなど、金融機関にとっても経済的合理性が期待される場合に適用されること

特に、経営者が破産を回避しつつ債務整理を進められる点は、今後の再出発や生活再建を図るうえで重要です。

※著作権保護の観点から、誌面画像および記事本文の転載は控えております。

制度の信頼性(国の後押し)

「経営者保証に関するガイドライン」は、全国銀行協会と日本商工会議所を事務局とする研究会によって策定された、中小企業・経営者・金融機関の三者が自主的に尊重すべきルールです。

法的拘束力はありませんが、金融庁および経済産業省(中小企業庁)もその周知・活用を積極的に推進しております。

例えば、以下の公表がされています。

「中小企業、経営者及び金融機関において、ガイドラインが広く活用され、ひいては日本経済全体の発展に資することが期待されます。…当庁としては、ガイドライン、特則及び本基本的考え方の周知・広報に努め、定着していくよう努めてまいります。」
─ 金融庁「廃業時における「経営者保証に関するガイドライン」の基本的考え方の公表について」(2022年3月4日)
廃業時におけるガイドラインの基本的考え方の公表

さらに、近年では以下のような動きも加わっています:

  • 2023年12月13日に公表した内容では、保証債務整理には弁護士などの専門家の支援が不可欠であることが明示され、支援体制の強化が呼びかけられています。
    金融庁による公表(2023年12月13日)
  • 2024年2月15日には、全国の地方裁判所の窓口にガイドラインに関するパンフレットを備え付けるよう要請する公表も行われ、制度のさらなる周知徹底が図られています。
    金融庁による公表(2024年2月15日)

制度案内が全国の地方裁判所という司法機関にまで行われているという事実は、経営者保証ガイドラインによる債務整理が公的にも信用に足るものとして認識されていることを物語っています。

このように、国も制度の普及と信頼性確保に積極的に取り組んでいることから、経営者保証ガイドラインによる債務整理は信頼性の高い選択肢として安心してご検討いただけます。

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